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2001年 春


 ピーターラビットの国から未来の日本へ

2000年があっという間に過ぎ2001年、21世紀が始まりました。とは言っても2000年と2001年に境目があるわけではなく、これまで通りの正月を迎えました。正月の新聞各紙は21世紀の社会がどのような社会になるのかを予測していました。IT革命の進展や遺伝子強化と遺伝子組み替え、ロボットの進化、環境破壊等21世紀の社会は技術の大きな進展や人口増大によってバラ色というよりはむしろ不安が高まる予感がします。

このような激しい変化の中で5年先10年先がを見通すことは難しいことです。人々が不安に感じることは将来を見通すことができないということでしょうか。それほど技術革新が日進月歩で進んでおり生活者は将来の生活のイメージを描けなくなってきているのではないでしょうか。

さて、今から100年以上前のことイギリスで始まった産業革命によって社会や生活が大きく変わろうとしていました。これまでの手工芸的なもの作りから機械でのもの作りが行われ大量生産がスタートしました。この大量生産によって大きな工場が作られ農村から多くの労働者が集められ街ができました。大量のものと人を運ぶため鉄道も建設されました。街では工場と労働者のアパートが立ち並び都市化が進展しました。

 100年前のイギリスのことですが当時の人々も私達が現在抱いているような感覚であったかもしれません。イングランドの北西に湖水地方というところがあります。ピクチャレスクな自然景観とピーターラビットの物語が書かれた場所でもあります。ピーターラビットの生みの親、ビアトリス・ポターがニア・ソーリー村のヒル・トップの農場に1905年に住んで以来、その風景は今日も変わることなく保全されています。

今日湖水地方の3分の1はナショナル・トラストの管理下にあります。このナショナル・トラストにポターは湖水地方の土地と家屋を取得し寄付しました。ナショナルトラストは1895年イギリスに設立された自然と歴史的遺物の保護保存団体です。

 このナショナル・トラスト発足の契機になったのは、湖水地方への鉄道建設反対運動でした。この運動に多くの人が賛同し鉄道建設が阻止されました。現在、湖水地方は美しい自然景観のもと観光の名所となっており日本からも多くの人が訪れます。ニア・ソーリーの牧場を散策していると未来にとって何を残すべきなのか、何を伝えなければならないのかを湖水地方の風景が私達び語りかけているようです。

「湖水地方の景観と自然は22世紀になっても多分変わらない」ということが半ば確信的に思えるのです。それほどナショナル・トラストに生涯を捧げたポターの意志の強さとそれを引き継ぐ多くの人々がこの国に多くいることを知ったからです。

21世紀を迎えて私達は何を残し何を伝えていかなければならないのか、未来から宿題が大変重く感じられた正月でした。


*フット・パス(foot path)
農場では誰でも自由に歩くことができる小道(フット・パス)が用意されています。




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