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フィンランド・フィスカスのテーブルカルチャーと
19世紀 花と鳥の手彩色版画展



解説

19世紀 花と鳥の手彩色版画

  印刷技術が発達した現代でこそ、美しい色刷りの図鑑を誰もが手に入れ、楽しむことは簡単になった。けれども、写真も色刷り印刷もまだなかった時代には、木版、銅版、石版などの版画によって描いた図版に、職人が、一枚一枚手彩色したり、色版を何枚も重ねて、緻密な絵入の本が手間暇かけて作成された。

 17〜19世紀の西洋では、動植物の世界を詳細に知らせるための『博物画の世界』が華開いた。言葉では語り尽くせない草花や鳥、昆虫、動物といった自然の生態をこうした版画は、私達に魅力的に語ってくれる。

  植物版画に描かれた草花は、表からは見えない根の部分や、本来は季節の違う花と実が一緒に描かれたものもある。鳥は、雌雄が一つの枝にとまり、そこに集まる餌となる昆虫が共に描かれたりしている。単に形を写実することに終わらない、自然の生態を描写しようとした博物画の面白さがそこにある。

  これら博物版画を見ると、見過ごしてしまう何気ない草花や小さな鳥や昆虫にも生命の息吹があることに気づかされる。"Life-giving" 生命を与えられたことに感謝し、いきいきと生活を彩っていきたい。


T&M展示版画リストと作家解説

1〜9、35、36、G.L.L.ビュフォン(Georges Louis Leclerc Buffon)
1-9「一般と個別の博物誌」(Histoire naturelle,general et particuliere avec la description du Cabinet du Roi)18世紀
35、36「鳥類誌」(Histoire naturelle des oiseaux)1770-1786
 1、ゴシキヒワ 2、フクロウ 3、コウライウグイス
 4、ブドウ 5、コーヒー 6、ヤグルマソウ 
 7、ブリオニヤ(ウリ科) 8、バラ 9、不明
 35、不明 36、コメクイドリ(ホオジロ)
●G.L.L.ビュフォン(1707-1788): 18世紀を代表するフランスの博物学者。「一般と個別の博物誌」は全44巻にも及ぶ大著で、地球の歴史から生物、鉱物にいたるまでを網羅した、当時のベストセラーとして愛読されたもの。ビュフォン生存中は33巻までしか完成せず、弟子が後を引き継いで刊行した。
10〜20、W.カーチス(William Curtis)「カーチス植物誌」(Curtis's Botanical Magazine)1787-現代「キューマガジン」
 10、不明1796年 11、不明1804年 12、不明1806年 13、フウチョウソウ1790年 14、ツルゼラニウム1791年
 15、キバナノクリンザクラ(プリムラ)1787年 
 16、エンドウ1789年 17、ツルゼラニウム1787年
 18、エンレイソウ1787年 19、ユリ1790年 
 20、マガリバナ(イベリス)1790年 
●W.カーチス(1746-1799): イギリスの園芸家、出版家、博物画家。薬種商の孫として生まれる。薬草への関心から植物学を学び、医者になるためロンドンに出て、薬剤師や大学の植物学研究室の助手をした後、ブロンプトンに大植物園を開設。1787年「カーチス植物誌」を創刊、後にキューガーデンの正式な機関誌となる。有用植物の普及にも多くの貢献をしてきた。
21〜24、J.J.L.オーデユボン(John James Laforest Audubon)「アメリカの鳥類」(The birds of America)1827-38
 21、ウソ 22、ウソ 23、ツグミ 24、ウソ
●ジョン・J・L・オーデユボン(1785-1851): アメリカの鳥類学者、フランスでJ.L.ダヴィッドに絵の手ほどきを受けた。1803年フィラデルフィアに渡り、アメリカ各地の鳥類観察をもとに刊行した全500図を掲載した「アメリカの鳥類」が名著。
25〜32、G.エドワーズ(George Edwards)
25、26「博物学選集 」(Glearning of natural history)1758、
27-30「珍奇鳥類博物誌」( Anatural history of uncommon birds)1743-64 31、32(サインの明記ないので雑誌不明)
 25、ホシムクドリ? 26、トキ 27、ミソサザエ
 28、不明 29、ライチョウ 30、不明 
 31、ハシナガクモカイドリ 32、アホウドリ
●G.エドワーズ(1694-1773): イギリスの鳥類画家。自然の背景を伴う鳥類画のスタイルを最初に確立。後にイギリスの特徴となる風景画や鳥類画の組合せは、これを源に発したと言われる。自ら、銅版画の製作を行う。彼の生物の描写は博物画に求められる正確さがない欠点をもつが、ユーモラスな表現は魅力的。フランスの博物画家ビュフォンに影響を与えた。
33、34、J.グールド(John Gould )33「蜂鳥科鳥類図譜」(A monograph of thefamily of humming birds)1849-61
 33、ハチドリ 34、スズメ
●ジョン・グールド (1804-81): イギリスの鳥類学者、図鑑製作家。妻のエリザベスやエドワード・リアなどの絵師の協力を得て、大判の石版画を多数製作した。1851年ロンドン万博では、100種余の蜂鳥の標本を展示した蜂鳥館を開いた。
37〜41、H.Lメイヤー(Henly Leonard Meyer)「英国鳥類図鑑」(Illustrations of British Birds)1833-1844
 37,コマドリ 38,ツメナガセキレイ 39,イワヒバリ
 40,キマユクビクスズメ 41,クロウタドリ(ツグミ)
42〜45、J.G.キューレマンス(John Gerrard Keulemans)「太陽鳥科図譜」(A monograph of thefamily of the sun birds)1876-1880
42〜45、タイヨウチョウ
●ジョン・J・キューレマンス( 1842-1912): オランダの鳥類画家。イギリスに渡って大英博物館の絵師として働く。J.グールドの手彩色石版画による鳥類画の伝統を引き継ぎ、20世紀まで継承した。愛らしい小鳥を描くのを得意とし、人気が高かった。
46〜49、E.ドノバン(Edward Donovan)「英国鳥類誌」(The natural history of British birds)1794-1819
 46,ニシコウライウグイス 47,セアカモズ
 48,アオカワラヒワ 49,カンムリクジャク
●E.ドノバン(1768-1937): 19世紀前半活躍したイギリスの図鑑制作家。美しい彩色に高い評価がある。
 引用文献:荒俣宏「博物画ワンダーワールド」平凡社

(全てT&M所蔵品)


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