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「森の生活展」

2000年5月



動植物の博物版画の魅力


印刷技術が発達した現代でこそ、美しい色刷りの図鑑を誰もが手に入れ、楽しむことは簡単になった。けれども、写真も色刷り印刷もまだなかった時代には、木版、銅版、石版などの版画によって描いた図版に、職人が、一枚一枚手彩色したり、色版を何枚も重ねて、緻密な絵入の本が手間暇かけて作成された。

  17〜19世紀の西洋では、動植物の世界を詳細に知らせるための『博物画の世界』が華開いた。言葉では語り尽くせない草花や鳥、昆虫、動物といった自然の生態をこうした版画は、私達に魅力的に語ってくれる。これらの中にはすでに絶滅してしまった動植物を見い出すこともできるだろう。

 植物画は、表からは見えない根の部分や、本来は季節の違う花と実が一緒に描かれたものもある。鳥は、雌雄が一つの枝にとまり、そこに集まる餌となる昆虫が共に描かれている。蝶は幼虫からさなぎになり成虫になる姿が見られる。単に形を写実することに終わらない、自然の生態を描写しようとした博物画の面白さがそこにある。

動植物版画展示の主な作家解説
ジョージ・エドワーズ George Edwards 1694-1773
 イギリスの鳥類画家。自然の背景をともなう鳥類画のスタイルを最初に確立した人。後にイギリスの特徴となる風景画や鳥類画の組合せは、これを源に発したと言われる。自ら、銅版画の製作を行った。彼の生物の描写は博物画に求められる正確さがない欠点をもつが、ユーモラスな表現は実に魅力的。著作としては『鳥類図譜A natural history of birds』(1743-51)、『珍奇鳥類博物誌 Anatural history of uncommon birds』(1743-64)、『博物学選集 Glearning of natural history』(1758)がある。18世紀フランスの著名な博物画家ビュフォンに影響を与えたと言われている。

ジョン・グールド
 John Gould 1804-81
 イギリスの鳥類学者、図鑑製作家。妻のエリザベスやエドワード・リアなどの絵師の協力を得て、大判の石版画を多数製作した。1851年ロンドン万国博覧会では、100種あまりの蜂鳥の標本を展示した蜂鳥館を開いた。著作では『蜂鳥科鳥類図譜A monograph of thefamily of humming birds』(1849-61)が、非常に有名。

ジョン・J・キューレマンス
 John GerrardKeulemans 1842-1912
 オランダの鳥類画家。イギリスに渡って大英博物館の絵師として働く。J.グールドの手彩色石版画による鳥類画の伝統を引き継ぎ、20世紀まで継承した。愛らしい小鳥を描くのを得意とし、人気が高かった。著作に『太陽鳥科図譜A monograph of thefamily of the sun birds』(1876-1880)、『カワセミ科鳥類図譜A monograph of the family of kingfishers』(1868-71)がある。

ジョン・J・L・オーデユボン John James Laforest Audubon 1785-1851
 アメリカの鳥類学者、フランスでJ.L.ダヴィッドに絵の手ほどきを受けた。著作に1803年フィラデルフィアに渡り、アメリカ各地の鳥類観察をもとに刊行した全500図を掲載した名作『アメリカの鳥類The birds of America』(1827-38)がある。

  参考文献
    荒俣宏「博物画ワンダーワールド」平凡社

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